奥手な二人の両片思い
「「………」」



2人きりになった俺達は、池の近くのベンチに腰かけている。

隼のやつ……さっきの話聞いて気を利かせてくれたんだな。


だがしかし……見ての通り、ずっと沈黙が続いている。

今朝もここに来るまであまり話さなかったもんな。



「あ、足元寒くない?」

「大丈夫! さっき体動かしたし、今日暖かいし」



バカだな俺。今日は汗ばむくらいの天気なのに何言ってんだ。

今日はいつもみたいにテンションアゲアゲで話せてないな。


私服だし、いつもと雰囲気違うのもあるけど……何より、服装が同じ。

違うのはパンツの丈だけで、下に着てる白Tシャツも薄いブルーのデニムも一緒。
今気づいたけど、スニーカーも同じ白だ。

無難なコーデとはいえ、打ち合わせなしでこんなにかぶるものなの?



「その服、この前話してたやつ?」

「あっうん。上川くんも?」

「うん。まさか本当にお揃いコーデになるなんてね」

「アハハ……」



何気なく口にすると、少し戸惑ったように彼女が笑い出した。



「あっ、ごめん! 軽々しくお揃いなんて言って嫌だったよね」

「そんな! 全然! ……むしろ嬉しい」



う、う、嬉しい⁉
そんな風に言ってくれるなんて嬉しさ倍増なんだけど!



「あっ、その……上川くんオシャレだから、このコーデで正解だったんだなって」

「ありがとう……」



あぁそっちか。でも嬉しい。

少し照れた様子で褒めた彼女にポソっとお礼を呟いた。
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