奥手な二人の両片思い
「ねぇ、清花が『バッグが重くて肩が痛い』言ってたんだけど、上川くんは大丈夫?」

「あぁ、俺も痛いんだよね。このままだと肩歪みそうだからリュックにしようと思ってる」

「そうなんだ……無理しないでね」

「ありがとう」



綿原さんが俺を心配してくれている!
なんて優しいんだ……!

いいぞいいぞ。だんだん本調子に戻ってきた!



「あ! カモだ!」



すると、綿原さんが池で泳いでいるカモ達を発見。
池の近くまで駆け寄っていく。



「カモちゃんこんにちは。みんなお揃いでお出かけかな? 可愛い~」

「アヒルかと思った。公園あんま行かないから久しぶりに見た。可愛いね」



急に俺達が来てビックリしたのか、カモ達は急いで逃げていく。

ごめんねカモくん……。



「あっ待って! キャッ!」

「っと……大丈夫⁉」

「う、うん……ありがとう」



カモ達を追いかけようとして足を滑らせた彼女を間一髪受け止めた。

あっ、なんかいい匂いする……。



「池の近くは濡れてるから気をつけて」

「うん……ごめんね」



香水かな?
ふんわりお花の甘い匂いがしたなぁ……。



「肩痛いのにごめんね。大丈夫?」

「あぁ、これくらい全然!」



余韻に浸っていると、顔を覗き込まれ、ドキッと胸が高鳴った。

優しいなぁ。って、心配してくれているのに、俺は何をうっとりしてるんだ。

でも、無事で良かった。
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