奥手な二人の両片思い
友達の好きな人
GW明けの登校日。



「あら、この間のお嬢さん」

「あ! おばあさん!」



ベンチに座って電車を待っていると、始業式の日に駅で会ったおばあさんと再会。
電車が来るまでおしゃべりを楽しむことに。



「ご夫婦で映画……いいですね~」

「体の調子が良くなってきたから久しぶりに2人で出かけたの。楽しかったわ」



あの日はご主人が入院するため、荷物を病院まで持っていってたんだそう。

ついこの間、無事に退院できて、一緒に映画を観に行ったんだって。



「この前一緒にいたお兄さんは友達?」

「はい! 中学から一緒なんです」

「あら! 私も主人と同級生同士なのよ~」



「友達は大切にね~」と笑ったおばあさん。

同級生同士の夫婦かぁ。素敵だなぁ。



「「おはよう!」」

「あっ、おはよう!」



下駄箱で靴を履き替えていると、夏穂ちゃんと塩野くんがやってきた。

すっかり仲良くなって、彼女とは下の名前で呼び合っている。



「菫ちゃんはGWどっか行った?」

「友達と公園でピクニックしたよ」

「いいね! うちらはボーリングに行ったよ! 弘貴がガター連発してさ~」

「それ言わなくていいから!」



フフフッ、朝からラブラブ。

ピクニックも楽しかったけど、いつかは上川くんとデートできたらいいな。なんてね。
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