奥手な二人の両片思い
おしゃべりを楽しんでいると、清花が廊下を歩いている男子生徒を見て、「あっ」と声を上げた。



「何~? 彼氏~?」

「違うよ! 友達!」



笑顔で否定してるけど、ものすごく嬉しそうな顔をしている。

彼に手を振ってみると、ペコッとお辞儀をして教室に入っていった。


なに今の! めちゃめちゃ可愛いぃぃぃ!

遠くからでもわかるサラサラの髪の毛と、きゅるるんとしたつぶらな瞳……。

高校生であんな可愛い男の子初めて見た!



「なんかモルモットみたいで可愛かったね!」

「う、うん……?」



インドアであまり運動しなさそうな雰囲気だったから、ハムスターよりも運動量が少ないモルモットに似てるかも!



──中間テスト終了後。



「お疲れ菫ちゃん! どうだった?」

「数学以外はわりとたくさん解けたかも!」

「うちも! 数学はあんまり解けなかったよ」



夏穂ちゃんとテストの話をしながら掃除をする。
この後、塩野くんとデートするんだって。

私もこの後、清花とお昼を食べて遊びに行く予定。



「ねぇ、期末終わったら遊ぼうよ!」

「うん! 遊ぼう!」



夏穂ちゃんから遊びのお誘い……! めっちゃ嬉しい!



「二人共遊ぶの? 俺も混ぜてよ~」

「菫ちゃんと初めてデートするからダメ!」

「あっ、そう……ごめんね」



夏穂ちゃんにハッキリ断られて去っていった塩野くん。
まるでご主人様と遊べなくて寂しそうな犬みたいだった。
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