奥手な二人の両片思い
学校が終わり、清花と二人でファミレスに向かった。



「菫はテストどうだった?」

「数学があまり解けなかった。だからちょっと心配」

「あー、苦手だったっけ。怜也くんに教えてもらったら?」

「それだと上川くんの勉強時間が減っちゃうから迷惑かけちゃうよ……」



注文して料理を待っている間、テストを振り返る。


去年は帰りの電車でよく問題を出し合っていたけれど、2年になってからは習う科目が違うため、別々に勉強している。

いくら勉強ができるからといっても、気難しい表情で問題解いてたし。
教える余裕なんてないんじゃないかな。



「…………むしろ喜ぶと思うけどなぁ」

「ん? 何か言った?」

「ううん。なんでもない。それより飲み物取ってきたら?」

「あっ、そうだね! じゃあお言葉に甘えてお先に」



ドリンクバーに向かうと、マグカップを持った同じ制服の可愛らしい男の子が飲み物を選んでいるのを見つけた。


あれ? この顔どこかで……。



「あの……もしかして清花のお友達ですか?」

「……っ! は、はい。そうですけど……」



丸いおめめをさらに丸くし、たどたどしく返事をした彼。

やっぱり! この前中庭で見たモルモットくんだ!



「はじめまして! 清花の友達の綿原菫です!」

「こちらこそ……1年の水沢透瑠(みずさわ とおる)です。よろしくお願いします」



と、低い声で丁寧にお辞儀をしてくれた。

わぁ~! 律儀な子~!
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