奥手な二人の両片思い
そして、日は流れ、8月下旬。



「終わったぁ……」



午後9時30分。
なんとか宿題をデートの3日前に終わらせることができた。

うつらうつらしながらお風呂に入る準備をする。



「おい怜也! 早く風呂入って」

「はーい……お姉様ぁ……」



部屋の外から姉が呼びかけてきたので、ドアを開けて答えると、若干引きつった顔と目が合った。

それもそうか。
ここ数日徹夜してて、目の下にはクマができている。

きっと今の顔、すっげーブサイクだろうな。早く元の顔に戻さねーと。


コイツ大丈夫なのか……? という顔をしている姉をよそに、着替えを持ってお風呂へ。

急いで済ませた後、睡魔と戦いつつクラゲについてまとめたノートを見返す。



「アカクラゲ……アンドンクラゲ……」



名前を呟き、頭に叩き込む。



「ミズクラゲ……」



ヤバい、なんか視界がボヤけてきた……。


────
──



「ん……んんっ⁉ キクラゲは……キクラゲは、キノコ……っ! …………あれ?」



目を覚まし、時計を確認すると、針は昼の1時を指していた。

いつの間に床で寝てたの⁉
っていうか、丸々12時間以上寝ちゃってた⁉



「あああーっ! ノートがぁぁ! きったねぇぇぇ! マジ最悪!」



気づくと、床に置いてあったノートがよだれでぐちゃぐちゃになっていた。

せっかく絵まで描いて作ったのに……!



「怜也~! みゆ~! そろそろそろ起きなさ~い!」

「はーい!」



下から母親の呼ぶ声がしたので、とりあえずご飯を食べに1階に下りた。
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