奥手な二人の両片思い
駅から歩くこと数分、水族館に到着。



「とりあえず何か食べようか。まだイルカショーまで時間あるし」

「そうだね! ここレストランあるんだよね! 行こ行こ!」



只今の時刻は、お昼の12時過ぎ。
お腹が空いているにも関わらず、綿原さんはテンション高め。

目が小さい子どものようにキラキラしている。

まだ中に入ってないけど、来て良かった!


レストランに入り、水槽の近くの席でハンバーグを平らげる。



「めっちゃ美味くね?」

「だよね! 肉汁たっぷりだし!」



ハンバーグを頬張りながら、綿原さんは水槽で泳いでいる魚達を見ている。

あの魚……何だったっけ。

多分図鑑で見た気がするんだけど、出てこねぇ。
似たような魚いっぱいいるもんなぁ。



「勉強した中で気になった生き物いる? 見てみたいなって思ったのとか」

「そうだなぁ……」



……しまった。勉強に気を取られて、この水族館に何がいるのか調べてなかった。

イルカがいるのは知ってるけど、それ以外全然知らない。



「んー……オットセイかな?」

「…………ここ、オットセイいないよ」



……だぁぁーー! 恥ずかしぃぃーー!

素直にイルカって言えば良かったのに、なんでかっこつけてオットセイなんてって言ったんだよぉぉ。

綿原さんめっちゃ苦笑いしてるしぃぃぃ!
っていうか前もって調べとけよ俺ぇぇぇ!
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