奥手な二人の両片思い
菫side
「ねぇ、漫画いっぱい持ってたよね?」
「ん? あー、うん」
晩ご飯を食べた後、リビングでテレビを観ている父に話しかけた。
「友達と一緒に読みたいんだけど……貸してくれる?」
「いいよ。何の漫画?」
「知識系の漫画」
テレビに夢中になっている背中に返答。
十数秒間沈黙が続き、画面がCMに切り替わると、ようやく顔を合わせてくれた。
「知識系の何の漫画?」
「まだ決めてない……」
「まだ全部読んでないのもあるから、それ以外ならいいよ」
「読んでないのはどれ?」
再び尋ねると、「どれだったっけ……」と思い出し始めた。
テレビ観る時間があるなら読んどいてよ。
と思ったけど、このテレビも知識系の番組だ……。
「……見てくる」
「あっ、私も行く!」
部屋に向かう父の後を追い、2階へ。
「えーっと……これもまだ読んでない、これは半分しか読んでない、これは……2巻まで読んだな」
本棚に並べられた漫画を次々と手に取っては戻してを繰り返す父を後ろから眺める。
もう、全然読んでないじゃん!
買うだけ買って放置してるの⁉
……って! それ未開封じゃん! また買ったの⁉
「ねぇ、まだ~?」
「待って、もう少しで終わる」
全然終わる気配がないんだけど……。
これじゃ今日中に連絡できないよ……。
「……もういいよ! 自分の持っていくから! またお母さんに怒られちゃえ!」
「す、菫⁉ それだけは……それだけは勘弁してくれ……! 菫……っ!」
懇願する父を無視して自分の部屋に戻った。
「ねぇ、漫画いっぱい持ってたよね?」
「ん? あー、うん」
晩ご飯を食べた後、リビングでテレビを観ている父に話しかけた。
「友達と一緒に読みたいんだけど……貸してくれる?」
「いいよ。何の漫画?」
「知識系の漫画」
テレビに夢中になっている背中に返答。
十数秒間沈黙が続き、画面がCMに切り替わると、ようやく顔を合わせてくれた。
「知識系の何の漫画?」
「まだ決めてない……」
「まだ全部読んでないのもあるから、それ以外ならいいよ」
「読んでないのはどれ?」
再び尋ねると、「どれだったっけ……」と思い出し始めた。
テレビ観る時間があるなら読んどいてよ。
と思ったけど、このテレビも知識系の番組だ……。
「……見てくる」
「あっ、私も行く!」
部屋に向かう父の後を追い、2階へ。
「えーっと……これもまだ読んでない、これは半分しか読んでない、これは……2巻まで読んだな」
本棚に並べられた漫画を次々と手に取っては戻してを繰り返す父を後ろから眺める。
もう、全然読んでないじゃん!
買うだけ買って放置してるの⁉
……って! それ未開封じゃん! また買ったの⁉
「ねぇ、まだ~?」
「待って、もう少しで終わる」
全然終わる気配がないんだけど……。
これじゃ今日中に連絡できないよ……。
「……もういいよ! 自分の持っていくから! またお母さんに怒られちゃえ!」
「す、菫⁉ それだけは……それだけは勘弁してくれ……! 菫……っ!」
懇願する父を無視して自分の部屋に戻った。