奥手な二人の両片思い
◇
「ちょっと早かったかな……」
電車が来る20分前に駅に着いた。
ベンチに座り、持ってきた漫画を読んで時間を潰すことに。
何回も読んでるから新鮮味はないけど、やっぱり面白いな。
「その本面白いですよね~」
夢中になっていると、突然男の人に声をかけられた。
「は、はい……そうですよね……」
「お姉さんは何の動物が好きなの?」
「えっ、と……」
穏便に済ませようと笑顔で答えたものの。
気があると勘違いされたようで、馴れ馴れしく隣に座ってきた。
恐怖で声が詰まる。
どうしよう、誰か、誰か……っ。
「俺の彼女に何か用ですか?」
後ろから聞き覚えのある声がして振り向くと、そこにはなぜか上川くんの姿が。
「あぁ……いや……すみませんでした……」
ニコニコ顔に圧力を感じたのか、男の人は急いで逃げていった。
「大丈夫だった? 何もされてない?」
「うん……ありがとう」
助かった……。
でも、どうしてこんな早く? まだ15分もあるのに。
「なんでこんな早く来たの……?」
「あぁ、漫画が楽しみすぎて早く起きちゃった」
いつものお茶目な笑顔に安心し、緊張が解けて頬が緩んだ。
「これ! 海の生き物の漫画!」
「おお~! ありがとう!」
満面の笑みで漫画を受け取った上川くん。
……彼女、かぁ。
「ちょっと早かったかな……」
電車が来る20分前に駅に着いた。
ベンチに座り、持ってきた漫画を読んで時間を潰すことに。
何回も読んでるから新鮮味はないけど、やっぱり面白いな。
「その本面白いですよね~」
夢中になっていると、突然男の人に声をかけられた。
「は、はい……そうですよね……」
「お姉さんは何の動物が好きなの?」
「えっ、と……」
穏便に済ませようと笑顔で答えたものの。
気があると勘違いされたようで、馴れ馴れしく隣に座ってきた。
恐怖で声が詰まる。
どうしよう、誰か、誰か……っ。
「俺の彼女に何か用ですか?」
後ろから聞き覚えのある声がして振り向くと、そこにはなぜか上川くんの姿が。
「あぁ……いや……すみませんでした……」
ニコニコ顔に圧力を感じたのか、男の人は急いで逃げていった。
「大丈夫だった? 何もされてない?」
「うん……ありがとう」
助かった……。
でも、どうしてこんな早く? まだ15分もあるのに。
「なんでこんな早く来たの……?」
「あぁ、漫画が楽しみすぎて早く起きちゃった」
いつものお茶目な笑顔に安心し、緊張が解けて頬が緩んだ。
「これ! 海の生き物の漫画!」
「おお~! ありがとう!」
満面の笑みで漫画を受け取った上川くん。
……彼女、かぁ。