奥手な二人の両片思い
「夏穂ちゃんと塩野くんは、一緒に勉強することあるの?」

「するよ。家近いし」

「うん。この前は夏穂の家で勉強したし」

「えっ⁉」



家で勉強していると聞いて、思わず大きな声が出てしまった。

お、お家デートしてるんだ……。



「……あっ、別に何かするってわけじゃないよ⁉ ただ勉強してるだけ! ね!」

「あぁ、ま、まぁね!」



夏穂ちゃんに話を振られ、焦る塩野くん。

2人とも顔が赤い。休憩中にイチャイチャしているんだろうな。



「へぇ~、そうなんだ~」

「ちょっと菫ちゃん! その顔何⁉」

「ん~? 幸せそうだなぁって」

「や……やめてよもう……」



気まずくなったのか、塩野くんは静かに席に戻っていった。

夏穂ちゃんも少し俯いている。
ちょっとからかいすぎたかな。



「菫ちゃんも勉強デート楽しんでね!」

「へ⁉」

「報告待ってるよ♡」

「ちょっ……!」



仕返しを食らい、一気に顔が熱くなる。


勉強……デート……。

違うって! 教えてもらうだけ!
友達同士で教え合いっこするの、よくあるし!


だけど、みんな帰った後なら……。



「2人きり……だよね」



自分で呟いた言葉なのに、顔がさらに熱くなっていく。

お家デートの話を聞いたのもあって、妄想が止まらない。

朝から何考えてるの!
もうすぐ授業始まるんだから、頭切り替えて集中しないと……!
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