奥手な二人の両片思い
帰りのホームルームが終わり、クラスメイト達が続々と教室を後にしていく中、上川くんがやってきた。
「じゃ、あとは2人で楽しんでね♡」
「またね!」
「ま……またね」
夏穂ちゃんと塩野くんも帰り、教室には私達だけになった。
「じゃ、始めますか」
「お願いします……」
心臓がバクンバクン鳴ってる。
授業中も先生の話に集中して、妄想が勝手に始まらないよう戦って。
お昼だって、『ご飯美味しいご飯美味しい』ってひたすら呟きながら食べて、余計なことは考えないようにしていた。
気を抜いたら、上川くんで頭がいっぱいになりそうなんだもん。
向かい合わせになり、今朝の続きから再開した。
1時間後──。
「めちゃめちゃ解けてる! すごいじゃん!」
「いやそんな……教え方が上手いからだよ」
照れくさくて謙遜したけど、昨日まで解けなかった問題に赤丸がついて嬉しい。
「……ありがとう」
顔を上げた彼と目が合った。
今朝と同じ距離なのに、こんなにドキドキしているのは……多分、今2人だからだよね。
自分の顔がどんどん熱くなっていくのを感じる。
変な顔してるって思われたらどうしよう。
「……フフフッ」
「なっ、何⁉」
突然笑い出した彼にドキッと心臓が脈を打った。
やっぱり変な顔してた⁉