奥手な二人の両片思い
ホームルームが始まるまでおしゃべりを楽しむ。



「へぇ~、上川と同中なんだ。昔からああいう感じだったの?」

「うん。色んな人と仲良くしてた」

「さすが上川。コミュ力高いな~。確かに話しやすいよね」



話に何度も頷く。
初めて話した時も、向こうから声をかけてくれたっけ。



「夏穂!」

「お~! 弘貴(ひろき)!」



手を振りながらやって来たのは、柴犬に似た可愛い顔の男の子。



「知り合い?」

「知り合いっていうか……彼氏。ね!」

「うん! はじめまして、塩野(しおの)弘貴です」

「はじめまして、綿原菫です」



塩野くんに挨拶をすると、樫谷さんがニコニコし始めた。



「『同じクラスになれたらいいね』ってずっと話してたからめっちゃ嬉しい♡」

「ちょっ……よせよ、人前で……」



何やらノロケ始めた二人。
すごく幸せそう……羨ましいなぁ。



「あ、ごめんね綿原さん!」

「ううん、いいのいいの! 二人はいつから付き合ってるの?」



ニヤニヤしている二人に尋ねてみた。



「去年の体育祭の後かな」

「元々俺ら小学校の同級生で、実行委員やったのをきっかけにだんだん仲良くなっていって……」

「んで、弘貴が告白してきたんだよね」

「そうそう……」



照れている塩野くんの肩を押す樫谷さん。

うわ~! ラブラブじゃん!
なんか私までキュンキュンしてきちゃったよ~!
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