奥手な二人の両片思い
文化祭当日。



「ロールケーキ下さい!」

「私はチーズケーキ下さい!」



一足早い昼食を食べながら、校舎の3階から中庭にある自分のクラスの店を眺める。



「お! いい感じ♪」



行列を見ると、中庭の外までズラリ。


看板とポスターは、人目を引きやすい暖色系の色を多めに使った。
これは色の本を見て思いついたんだ。

そして、『人は限定という言葉に弱い』と、先生から助言をもらい、全部のポスターに『限定◯◯個!』と記入。


ケーキが美味しそうだからなのもあると思うけど、こんなに行列ができるとは予想してなかった。



「夏穂ちゃんと塩野くん、大変そうだな」



フルーツタルトを食べながら、ひたすらケーキを出している2人を眺める。

シフトが違うから、一緒に回れなかったんだよね。

まぁ、1人でも充分楽しめてるし、いっか。



お腹を満たし、2年1組がやっている喫茶店へ。
店内に入り、席に着いてメニューを見る。


うーん、どれにしよう。
この後店番だし、お腹に優しい温かいのにしよう。



「すみません、ミルクティーください!」

「菫! 来てたんだ」



上川くんを呼ぼうとしたが、忙しそうだったので、近くにいた清花を呼んだ。

このお店も人多いなぁ。繁盛してる。



「忙しそうだね。何時に終わりそう?」

「11時半だけど、人多いから時間かかるかも」

「そっか~。私12時から店番だから、一緒に回るの難しそうだね」



清花とも一緒に回れないのかぁ。残念。

ケーキが完売したら自由になれるけど、あとどれくらい残ってるんだろう。
< 64 / 144 >

この作品をシェア

pagetop