奥手な二人の両片思い
「とりあえず、数も少ないし、こっちは俺らでなんとかしよう」

「そうだね。綿原さんは看板持って校内回ってくれる?」

「わかった。行ってくる」



店番を他のクラスメイト達に任せ、フルーツケーキの形をした看板を持って宣伝しに向かった。



「フルーツタルトいかがですか~。美味しいですよ~」

「すみません! それどこで売ってますか?」

「中庭です! 2年4組のケーキ屋です!」

「ありがとうございます!」



声かけしながら回っていると、何人かお姉さん達から声をかけられた。

フルーツタルトを買えるくらい、お財布に余裕がありそうなお姉さん達だったな~。たくさん買ってくれますように。


校内を回りつつ、出店で小腹を満たす。

今私は、看板片手にパンを頬張りながらうろうろしている。


何周か回り、お客さんを案内したところで、休憩を取りに校舎の端にある自動販売機へ。



「あぁ~っ、美味し~い」



ジュースを買ってのどを潤した。

よし、これで水分補給完了!


行くか! と気合いを入れた直後。



「はぁ……疲れた……」



近くから男子生徒の声が聞こえた。

せっかくの文化祭なのに……歩き疲れたのかな?

買うかはわからないけど、一応勧めてみよう。


声のしたほうに向かうと──そこには花束を持ったうさ耳メイド姿の女の子がいた。
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