奥手な二人の両片思い
「ごめんね! 立てる?」

「……はい」



低い声で返事をしたモルくん。少しフラつきながら立ち上がった。

どうしよう……さっきの私、周りから見たらめっちゃヤバい人になってたよね……。



「ごめんねモルくん……」



服を整えている彼に小さく謝った。


男子だけだと暴走しそうって思ったけど、私も暴走してるじゃん……。

過激な女装じゃないにしろ、他の生徒達がこんなんじゃ禁止されるよね。



「…………1枚だけですよ?」

「ありがとう……!」



若干呆れつつも、一緒に写真を撮ってくれた。

優勝して囲まれていたから、避難しに来ていたらしい。

だから疲れた顔してたのか。



「あの~、次は俺達と撮ってくれませんか?」



くるりと振り向くと、同じ制服姿の男子達がスマホを持って立っていた。

上履きの色が違うから……先輩だ。



「すみません。俺もう行かないと」

「1枚だけでいいから写真撮ろうよ!」

「嫌です……! やめてください!」



立ち去ろうとするモルくんの腕を掴んで引き止めた彼。

どうしよう、助けたいけど、怖くて動けない。



「先輩……? どうしたんですか?」

「ごめ、私……」



盾にするように、モルくんの後ろから両肩を強く掴む。

いやっ、だってこの人達は……っ。
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