奥手な二人の両片思い
「いいなぁ。私、背が高いからショートにしたら男の子っぽくなりそうで、なかなかバッサリいけないんだよね」

「綿原さんなら大丈夫だよ! 髪巻いたらショートも似合うって!」

「怜也くん、一応巻き髪、校則で禁止されてるから」



清花が冷静に上川くんにツッコミを入れた。



「そうだったっけ。ってかオールバックはオッケーなのに、なんで巻き髪は禁止なんだろうね?」

「うーん、勉強の邪魔にならないからとか? 派手な髪型がダメなんじゃない?」



確かに。

この学校、他校に比べて校則優しいほうらしいけど、ちょっと変わってるんだよね。
唯一厳しいのはスカートの丈ぐらいだし。


5分後。清花と別れ、上川くんと駅に向かう。



「ねぇ、文系の教科書は何があるの?」

「えーっとね……確か現代文と古典があったよ」

「あぁ〜、国語の教科書にあったやつ?」

「うん。理系は?」

「えーと、数学が何個かあって……あと物理があったかな」



数学が何個も⁉
私なんて、数学の公式が暗号にしか見えなかったのに!



「すごいね。そんなにたくさん……」

「そうなんだよ! 文系に比べて科目が多いみたいでさ~。勉強頑張んなきゃ!」



中学の頃から教室に残って勉強していたのを何度か見たことがある。

お調子者だけど実は真面目で努力家。

そのギャップがたまらないんだよね。
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