奥手な二人の両片思い
縮まる距離
怜也side



文化祭が幕を閉じ、綿原さんと待ち合わせしている校門へ向かった。

良かった。目の腫れ、だいぶ引いたみたい。



「綿原さんさ、ミルクティー頼んでたでしょ? あれ、俺が作ったんだよ」

「そうだったの⁉ すごく美味しかった!」



よっしゃ、サプライズ大成功。

俺はコーヒー係だったんだけど、綿原さんの時だけ特別に作らせてもらったんだよね。

お口に合ったみたいで良かった。



「せっかく来てくれたのに、何も出せなくてごめんね」

「そんな、謝らないで。完売したんだし、そこは喜ぶところだよ?」



平気な振りをしてみせるも、本当はちょっと楽しみにしていた。

ケーキはクリスマスに食べられるからいっか。


電車を待つ間、コンテストの出場者達と撮った写真を見せた。



「わぁ、みんな綺麗だね!」

「でしょ? 無加工なのに盛れててさ~。クオリティ高くてビックリしたよ」



復活して最初のコンテストだったからか、みんな気合が入ってて。どこ見渡しても美女ばかりだった。



「水沢くんが出た瞬間、体育館中が沸いてたよ」

「そうだったんだ。でもわかる! ケーキ勧めに行った時、あまりにも可愛くて興奮しちゃったもん!」



綿原さんも興奮したのか……。

体育館を出る時、人だかりがすごくてなかなか動けなくて。特にモルくん……水沢くんがめちゃめちゃ写真撮られてたんだよな。

あれは明日から校内で噂になる予感がする……。



「さっきはありがとう。先生呼びに行ってくれたんでしょう?」

「あぁうん。近くにいたから。どこもケガしてない?」

「大丈夫。あと、サングラスありがとう」
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