奥手な二人の両片思い
それから数週間が経ち、中間テストが終わった。
数学は自信ないけど、他は結構手応えあるから、返ってくるのが楽しみ!
「綿原さん、これ」
荷物を持って席を立つと、クラスメイトの男子から小さなメモを渡された。
「何……?」
「2年の先輩が綿原さんに渡してって」
「あぁ……ありがとう」
2年生の先輩に知り合いなんていないんだけど……。
一体誰だろうと思いながら中を見ると。
『放課後、購買近くの階段で待ってます』
これって……まさか告白⁉
いや待って、差出人がわからないから行かないほうがいいかもしれない。何かの罠だったりするかもだし。
……でも、無視して何か言われたら……。
もし女子だったら、また悪口を言われちゃうかもしれないし……。
「ちょっとだけ……すぐ帰ればいいよね」
とりあえず行くだけ行ってみよう。
いなかったら引き返せばいいし。
教室を出て、そのまま購買近くの階段へ。
あれ……? いない?
来てみたものの、人の姿も気配もない。
まだ来てないのか、それかもう帰ってしまったか。
でも、このままずっと待つのもなぁ。お腹空いてきたし……。
電車の時間が迫ってきてるし、5分待っても来なかったら帰ろう。
「────あ! ちょっと待って!」
去ろうとしたタイミングで誰かに呼び止められた。
「遅くなってごめんね。帰ろうとしてたでしょ?」
「あぁ……いえ」