奥手な二人の両片思い


それから数週間が経ち、中間テストが終わった。

数学は自信ないけど、他は結構手応えあるから、返ってくるのが楽しみ!



「綿原さん、これ」



荷物を持って席を立つと、クラスメイトの男子から小さなメモを渡された。



「何……?」

「2年の先輩が綿原さんに渡してって」

「あぁ……ありがとう」



2年生の先輩に知り合いなんていないんだけど……。

一体誰だろうと思いながら中を見ると。



『放課後、購買近くの階段で待ってます』


これって……まさか告白⁉

いや待って、差出人がわからないから行かないほうがいいかもしれない。何かの罠だったりするかもだし。


……でも、無視して何か言われたら……。

もし女子だったら、また悪口を言われちゃうかもしれないし……。



「ちょっとだけ……すぐ帰ればいいよね」



とりあえず行くだけ行ってみよう。
いなかったら引き返せばいいし。


教室を出て、そのまま購買近くの階段へ。


あれ……? いない?


来てみたものの、人の姿も気配もない。
まだ来てないのか、それかもう帰ってしまったか。

でも、このままずっと待つのもなぁ。お腹空いてきたし……。

電車の時間が迫ってきてるし、5分待っても来なかったら帰ろう。



「────あ! ちょっと待って!」



去ろうとしたタイミングで誰かに呼び止められた。



「遅くなってごめんね。帰ろうとしてたでしょ?」

「あぁ……いえ」
< 77 / 144 >

この作品をシェア

pagetop