奥手な二人の両片思い
電車に乗り、窓際に移動して外の景色を眺める。



「だんだん暖かくなってきたね。綿原さんは何か春服買った?」

「春休みにデニムジャケットを買ったよ」

「おぉ~。俺もデニムのシャツ買ったんだよ~!」



「お揃いだ~!」とはしゃぐ上川くん。



「一緒にデニムコーデできるね!」

「えっ……! あ、うん!」



それってペアルック⁉
いや、ペアルックはカップルがやるやつだもん。違う違う。

……でも、友達同士でやる人もいるよね。



「あのさ……ゴールデンウィーク空いてるなら、清花ちゃんと(しゅん)誘って、みんなで遊ばない?」

「いいね! 遊ぼう!」

「良かった! 行きたいところ決めといて!」



返事をすると、彼は早速4人のグループチャットにメッセージを送った。


隼っていうのは、上川くんの幼なじみ。
そして、清花の中学時代の友人でもある。

私にとっては1年の時のクラスメイトなので、黒瀬(くろせ)くんと呼んでいる。



最寄り駅に着き、自転車置き場へ向かう。

一緒に下校する時は、いつも自転車を押しながら帰るんだけど、あっという間に時間が過ぎちゃうんだよね。

遠回りするか寄り道して、もう少し一緒にいたいなぁ。



帰宅してスマホを見ると、グループチャットに清花と黒瀬くんから了承の返事がきていた。


その返事の下に、動物園に行きたいと希望を送信。

お昼ご飯を食べた後、デニムジャケットに合う服を一人ファッションショーをしながら考えたのだった。
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