奥手な二人の両片思い
駅を出て、歩いて隼の家へ。
チャイムを押す前にコートを脱ぐ。

お菓子じゃらじゃらの姿でビックリさせよう。



「いらっしゃい!」

「「こんにちは~!」」



2人揃って、満面の笑みで隼に挨拶。

ドアが開かれたと同時に、視線を落とした彼の目が丸くなった。



「ちょっ、おま……その格好で来たの⁉」

「一応コートは着てきた。似合う?」

「まぁ似合うけど……」



綿原さんと同じく、ちょっと引いている様子。

すると、後ろから綿原さんが「えっ」と小さく声を漏らした。



「後ろにも付けたの……?」

「うん。見て! カチューシャも持ってきたんだよ♪」

「マジかよ……」



カチューシャを再び頭につけて、隼にも後ろ姿を見せた。

清花ちゃんと水沢くんはどんな反応するかな?



「やぁ、お待たせ!」



苦笑いする二人をよそに、リビングのドアを開けた。

すると、早速水沢くんからの反応をゲット。まん丸の目がさらに丸く見開かれている。

中に入ると、後ろにいた綿原さんが「あ!」と嬉しそうに口を開いた。



「モルくんとおそろいだ~!」

「なんでよりによって先輩もトナカイコーデなんですか!」

「ね! モルくん! 一緒に写真撮ろう?」

「うっ……先輩香水つけてます?
なんか甘ったるい匂いがします! 少し離れてください!」

「あ~、ごめんね。苦手だった?」



興奮している彼女と香水の匂いを嫌がる彼を遠くから眺める。
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