奥手な二人の両片思い
「大丈夫?」

「あああ近寄らないでください! 綺麗な服が汚れちゃいます!」



慌てふためく彼に、清花ちゃんがティッシュを渡す。

逃げるように離れて鼻を押さえたところで撮影が終了した。



「モルくん可愛いね~! 見ててキュンキュンする~!」



満足気な表情でスマホをしまった綿原さん。

結局2人とも、最後まで気づかなかったな。



「……これは秘密にしておいたほうがよさそうだな」

「うん……」



こそっと耳打ちしてきた隼に小声で返事をした。

いつかこの動画を観る日が来た時、2人はどんな反応をするだろうか……。



彼の鼻血が治まり、お昼ご飯を食べることに。

持ち寄った料理をテーブルの上に出した。



「こってりした物が多いなー」



笑いながらツッコんだ隼。

俺が持ってきたのは、鶏の唐揚げ。
レシピを調べまくって色んな味付けを試し、「これだ!」と思えた味を選んだ。

ちなみに綿原さんはクリームスパゲッティ。
隼はピザ。清花ちゃんはたまごサンド。

圧倒的にテーブルの上は高カロリーの物だらけ。


誰一人野菜持ってきてねぇ……。

なんて思っていたら。



「サラダ作ってきました」



水沢くんが、サラダが入ったタッパーをテーブルの上に出した。

うわぁ~! めっちゃ美味しそう~!

早速皿に取って口の中へ。



「ん~! 最高! 何杯でもいけるなぁ~!」

「ありがとうございます!」



野菜を美味しいと思えるようになったなんて……俺、成長したなぁ。
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