奥手な二人の両片思い
「毎日食べたい……」

「俺でよければ毎日作りますよ?」

「え、いいの⁉」



ポツリと呟いた清花ちゃんの声に、すかさず反応した水沢くん。


「毎日お弁当作りますよ」みたいなテンションで言ったけど……この2人、付き合ってないんだよな?

仲良すぎて、もうカップルの会話にしか聞こえねーんだけど……。



「はい、そこイチャつかない!」



サラダを味わいながら眺めていたら、隼が手をパンパンと叩いた。



「もう、だからイチャついてないって……」

「そうですよ。毎回毎回……隼くんやきもち妬いてるんですか?」

「ちげーよ。人ん家でイチャつくなってことだよ」

「だから違うって言ってるじゃん」



イチャイチャ……確かにそうも見える。


毎回って、隼はこういう場面に何度も出くわしてるのか?

んー……でも隼は心が広いから、自分の家で他の人がイチャつくのに本気で怒るとは思えない。


ってことはやっぱり……。



「なに、ここ三角関係なの?」



少し不満そうな顔で唐揚げを食べている隼と、楽しそうに会話をしている二人に口を挟んでみた。



「もう! ややこしくしないで!」

「そうだよ。そもそも俺、清花みたいな怖い人タイプじゃないし」

「ちょっとそれどういうこと?」

「その言い方! 気が強いってことだよ!」

「否定はしないけど、怖いって言わないでよ!」



……ありゃ、俺地雷踏んじゃった?
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