奥手な二人の両片思い
「俺、そんなに派手な服持ってないよ?」

「そうなんですか? 意外ですね。アクセサリーじゃらじゃら付けてそうなイメージがありました」

「アクセサリーも数個しか持ってないよ」

「えっ、帽子とか靴は?」

「それもそんなに……姉ちゃんがいっぱい靴持ってて靴箱占領してるから、買っても入れるスペースないんだよね」



答えると、2人は驚いた様子で顔を見合わせた。

清花ちゃんと水沢くんにとって、俺は小物をたくさん持っているイメージだったのか。



「ねぇ、服はどれくらい持ってるの?」



すると、今度は綿原さんから質問が飛んできた。



「数えたことないからな~。クローゼットに収まるくらいの量だから、みんなと同じくらいじゃない?」

「へぇ、上川くんってオシャレだから、衣装部屋があるくらい服たくさん持ってるのかと思ってた~」



衣装部屋⁉ 芸能人ばりに服たくさん持ってるって思われてたの⁉

オシャレだと前に言ってくれたけど、自分では思わないなぁ。



「ハハハ! 怜也意外と部屋片づいてるんだよ。クローゼットもスッキリしてるし」

「「「えええーー!」」」



隼が説明すると、3人とも目を丸くして大声を上げた。



「『えええーー』って……みんな、俺の部屋が散らかってると思ってたの⁉」

「「「………………」」」



全員静かに頷いた。

みんな俺のこと、服を大量に持ってて、片づけができない人間って思ってたんだ……ちょっとショック。
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