奥手な二人の両片思い
数日後、新学期が始まった。

同時に、綿原さんとの登下校も再開。



「東馬くん……あの小さい子?」

「そう。最後に会ったの夏だったから久しぶりでさ~」



駅を出て、学校までの道のりを歩きながら冬休みの話をする。


小さい子って……。そういえば綿原さん、中学の頃から背高かったっけ。

東馬もだいぶ伸びてたけど、綿原さんのほうが少し高いかな。



「綿原さんは今年の目標立てた?」

「うん! 早く進路決めて、車の免許取りに行くの!」

「免許かぁ~、俺も取りたいなぁ~」



もし取れたら、一緒にドライブデート……なんて。
まだ車を買う財力はないけど。



「上川くんなら、頭がいいからすぐ取れそう」

「そうかなぁ。種類によっては難しいって聞くし。まず、無事に進路が決まるかどうかが心配だよ」



進路は、冬休みの間に色々調べて、今年からオープンキャンパスに行く予定。

春休みはまだ大丈夫だけど、3年生になったら遊ぶ時間なくなるだろうな……。



「あのさ……ちょっと早いけど、春休みにまた遊ばない? 3年生になったら忙しくなって、あまり遊べなくなりそうだし」

「うん! いいよ! 私も春休みに一緒に遊べたらいいなって思ってたから!」



意を決して言い出してみたら、すんなり受け入れてくれた。



「良かった。行きたいところある?」

「えっ! 次は上川くんの行きたいところでいいよ? 前回、私の意見通してもらったし……」



申し訳なさそうに眉を下げて、上目遣い。

っ、そんな可愛い顔で見つめないで……。
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