きみじゃなくてもいい
ぜんぶぜんぶ、勝手に扱われたように思えて。そんな私に今さら嘆いているような気がして。私の泣き顔だけをあいしている気がして。
くるしい。くるしい。つらい。なんて、感情を冷ややかに塗りこんだ顔をしていたのはきみだった。
「ずっと、あまえてたね。気づけないくせに勝手に怒って、責めて、私、」
いつも何もできないね、きみを追ってばかり、きみは生き急ぐように走ってばかり。声にすることすら、できないことばの数々。
本当は伝えなきゃいけないこと、夜空で飾られてる星の数ほどたくさんあるのに。
たくさん訊きたくて、たくさん抱きしめて。その間で光輝に言ってほしいこともあって。ふたりの相違の答え合わせをしたい。
でも。
きみは絶対に言わないんだと気づかざるを得ない。
「いやでも忘れられない、だって光輝だった、から」
合った瞳が、微かに驚を映していた。悔やんでいるように見えない喜も見える。ほら、“ ごめん ” なんて形だけだ。