きみじゃなくてもいい


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おとうさんへ




高校が冬休みに入ったことですし、母の実家にすこし顔を出しに行こうと思います。

光輝も一緒なので心配しないでください。

それと、面と向かって言えないから手紙で済ませてしまうこと、どうかご容赦ください。

おとうさん、私の母と出会ってくれてありがとう。

おかげで寂しくないの。いつも光輝がいて、おとうさんがいてくれて私はうれしい。

短命だった母もきっとうれしがっているでしょう。

ほんとうのかぞくじゃないのに、たくさん愛してくれてうれしかった。母が亡くなったときも励ましてくれてうれしかった。

だけどその分、光輝を蔑ろにしたこと、傷つけたことを知っています。あなたの血を分けたあの人を、必要以上に。

おとうさんが母を愛していたように、私も光輝が大切。だからもう、何があっても光輝を責めないでね。

傷つけないで。あの人のやさしいところを。



最後に。本当にありがとう、今までかぞくでいられてうれしかった。





雨衣より





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