魔法に囚われて〜誘拐されて溺愛されてます〜 II
「でも、ゆっくりの曲だったらもう踊れるんでしょ?だったら問題ないと思うな」

ユーゴは優しくそう言ってくれるが、ジュエルは首を横に振る。この世界はお菓子のように甘くて華やかなだけではない。ユーゴが恥をかかないように自分もしっかりしていなければならないのだ。

「ユーゴ様に相応しい人に一日でも早くなりたいのです。なので、空いている時間にダンスの練習に付き合ってもらえませんか?」

ジュエルがユーゴを見つめながら言うと、「そういう顔は反則……」とユーゴに抱き締められる。そして「愛してる」と何故か愛を囁かれるのだ。

その後は仕事の邪魔になるといけないため、ジュエルは部屋を出ることにした。帰り際にキスを求められ、顔を真っ赤にしながらジュエルはキスをしたが……。

「顔が熱い……」

別れ際にしたキスの熱がまだ残っている。ジュエルは口元にそっと手を当てながら廊下を歩いていた。その時、使用人たちの会話が聞こえてくる。
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