魔法に囚われて〜誘拐されて溺愛されてます〜 II
誘拐という形で連れてこられ、さらに庶民という立場だが、ジュエルがこのお城で生活させてもらえているのは、前国王陛下と女王陛下が「恋愛は好きにさせてやりたい」という思いがあったからだろう。

「こんな私がユーゴ様のそばにこれからもいるなんて……」

クリスティーナのように華やかな世界で生きてきたわけではない。それでも今、ユーゴに対して想いを抱いてしまっている。俯くジュエルだったが、ふわりと背後から抱き締められた。

「どうしてそんな顔してるの?」

優しく声をかけられ、ジュエルは肩を震わせる。抱き締めていてくれたのはユーゴだった。

「大臣と話した後から様子が変だったから、あとを追ってきたんだ。どうかした?パーティーのことが不安?」

「いえ、そうではないのです」

ジュエルは首を横に振り、ユーゴの方を見る。ユーゴはとても心配げな目をしていた。その目を見ていると申し訳なくなってしまうのだが、ジュエルは何故か目を逸らすことができない。
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