魔法に囚われて〜誘拐されて溺愛されてます〜 II
「僕に話せない?」

ユーゴに真剣な顔で見つめられるが、ジュエルは首を横に振る。「釣り合わない」そう言ったところでユーゴは優しく笑ってキスを落とすだけだからだ。

「ジュエル、ちょっと掴まってて」

そうジュエルは言われた刹那、ふわりと横抱きにされる。ジュエルは「ユーゴ様!?」と驚くが、ユーゴはジュエルを横抱きにしたまま歩き出す。そして開け放たれた窓のそばに立った。

「空を一緒に散歩しようか」

ユーゴはそう微笑み、呪文を唱える。するとふわりと風が二人を包み込み、そのまま空へと舞い上がる。ジュエルは「ひゃっ!」と浮かんだことに声を上げ、ユーゴの首に腕を回す。ユーゴは嬉しそうに頬を赤く染めながら空の上を歩き始めた。

「ユ、ユーゴ様……」

空に連れて行かれるのは久々で、ジュエルは少し恐怖を感じて目を閉じてしまう。風が頬に触れ、ジュエルはますます強くユーゴにしがみついた。

「ジュエル、目を開けて前を向いて?僕はしっかり君を抱き締めているから」
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