魔法に囚われて〜誘拐されて溺愛されてます〜 II
ユーゴに優しく声をかけられ、恐る恐るジュエルは目を開ける。すると、目の前には美しい街並みが遠くまで見える。遠くには山があり、湖も少し見えていた。

「綺麗……」

どこまでも広がる壮大な景色を見ていると、自分の悩みがちっぽけなものに感じてしまう。胸がギュッと音を立てた。

「僕、悩みがある時にはこうやって空中を散歩するんだ。綺麗な景色を見ると心が癒されるから」

ジュエルがユーゴの方を見ると、ユーゴはジュエルに微笑みかけてくれた。しかし、すぐにその顔は真剣なものになる。

「ジュエル、どんなことで悩んでいるのかは無理には聞かない。でも、これだけは覚えておいてほしいんだ。僕が君を心から愛してるってこと」

「……はい」

ユーゴの優しさや言葉がジュエルの心に響いていく。ジュエルはユーゴに体を預け、目を閉じる。

穏やかで幸せな未来が訪れることを祈って……。



それから数日、ジュエルはパーティーのためにダンスの練習をしたり、レンとパーティーで着るドレスなどを選んだりした。

「いよいよ今日ね……」
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