魔法に囚われて〜誘拐されて溺愛されてます〜 II
ジュエルの頬も、ユーゴの頬も赤く染まっている。使用人たちは二人のキスシーンを見て目を輝かせていた。

「緊張、少しはほぐれた?」

ユーゴがニイッと笑いながら訊ね、「はい」とジュエルは照れながら微笑む。その時、ガチャリと音を立ててドアが開いた。

「ママ!ママとお話ししたいっていうお姉さんが来たよ〜!」

レンがそう言い、水色のリボンのついたドレスを着た美しい女性を連れてくる。その女性を見た刹那、ユーゴが「もう来てくれたんですか!?」と驚く。女性は「お久しぶりです、陛下」と言いながらペコリとお辞儀をした。

「失礼ですが、どちら様でしょうか?」

ジュエルが訊ねると、「申し遅れました。ジュエル様」と女性は微笑みながら言う。

「お初にお目にかかります。クリスティーナ・ウォーターと申します」

「クリスティーナさん……」

ユーゴの元婚約者だ。名前は聞いていたが、姿を見るのは初めてで、ジュエルは目の前の美しい女性を見つめる。お辞儀をするその仕草さえ、見惚れてしまうほどだ。
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