魔法に囚われて〜誘拐されて溺愛されてます〜 II
「治ったら唇にキスしてくれる?」

ユーゴが訊ね、ジュエルの顔は真っ赤になってしまう。ユーゴと何度もキスをしているが、あのキスを思い出すと胸がキュンとしてしまうのだ。それを自分からするなど、考えただけで恥ずかしい。

「ダメ?僕はジュエルからそろそろキスしてほしいんだけど……」

ジッと見つめられ、ジュエルは恥ずかしさから逃げ出したくなる。しかし、ユーゴは流さないと言わんばかりに強く抱き締めてくるので、覚悟を決めるしかない。

「しますよ。だから……」

ジュエルはそっとユーゴのおでこに唇を落とす。いつもよりそのおでこは熱かった。チュッ、と優しいリップ音が響く。

「これで我慢してくださいね?」

ジュエルがはにかみながら言うと、ユーゴは「それは反則……。キスしてめちゃくちゃにしたくなる……」と言いながらジュエルを胸板に押し付ける。

こうして、ジュエルの想いは育てられていくのだ。



ユーゴの風邪が治って数日、ジュエルはレンと共に厨房にいた。大勢の料理人たちのようにジュエルとレンもエプロンをつけている。

「お仕事を頑張っているユーゴ様にお菓子を差し入れしてあげてください」
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