愛で壊れる世界なら、
レイチェルは幼なじみの二人と、いつものようにお茶を飲み、辺りを散歩して、これまでとなんら変わらず、これからも変わらないと無邪気に信じていた日常を過ごしていた。
空はここしばらくの雨がようやく止んだとはいえ、あいにくの曇りではあったけれど、あんまり晴れていても太陽の力強さに肌が負けて赤くなってしまうし、雨なら外を出歩くことなど家の者が許さないし、ちょうどよかったと考え直して三人で揃って笑った。
――雨が降っていた。
シエルとフレーテとは、生まれた頃からの友人だった。
領地が隣接し、親同士にも諍いはなく、年齢もほとんど変わらず、立場もそこまで大きくは変わらない。たまたま避暑の時期と場所とが重なって出会った縁から、実の兄弟姉妹のようにとは言わなくとも下手な親戚よりも近しく親しい関係を続けていた。
三人ともがとっくに十という年齢を越え、いつまでもこのままでいられないことは、各々誰に言われるまでもなく理解していた。
伯爵家嫡男としての教育が厳しくなるシエルとは、あとどれくらいこうしていられるか。フレーテもそうだ。それぞれがいずれ相手を見つけて婚姻を結び、家のためにこのおままごとのような優しい世界から巣立つことになる。
それでもまだ。まだもう少し。
子供だからと許されているうちは、三人で過ごすこの関係を続けていたかった。
――雨が降る。