不器用同士
「えー、もう忘れちゃったの?俺とおじさんどっちがいい?って聞いたじゃん」
それは数分前に助けてもらった時に聞いた言葉。
……嫌な予感がするんだけど。
「覚えてるけど、それは助けてくれるために言ってくれたんでしょ?」
そうであってくれと思いながら確認する。
「そんなわけないでしょ?対価がないことするわけないし」
ゆっくり近づいてくる相楽くんと後退りをする私。
いつもの飄々とした雰囲気とは違い、なにか言葉を発することもできないような威圧感があった。
なにこいつ。
めんどくさい展開に思わず眉間のシワがよる。
「ふっ」
そんな私が珍しいのか面白そうに顔を綻ばせた。