不器用同士
隣同士で歩いてるわけでもないし、特に話すこともないので黙って歩く。
いつも私が通っている道と違うから新鮮で周りを見渡してみる。
ここは繁華街と呼ばれるこの県で1番栄えている場所だ。
まだ夕方なので人の数は夜に比べると少ない。
夜になるとキャバクラの女の人やホストや居酒屋のキャッチがたくさん出てくるし。
酔っ払いのサラリーマンや大学生の男女などが入り乱れる。
人混みが苦手な私にとってはあまり近づきたくない場所だ。
「まだ?」
どんどん進んでいく相楽くんに痺れを切らして話しかけた。
歩き出して15分は経っている。
聞こえたのか聞こえなかったのかチラッと振り返るとニコッと笑うだけですぐ前を向いた。
…これも答えないってわけね。
本当にめんどくさい。