不器用同士


ガヤガヤとうるさくなってきた繁華街を抜けて、さらに歩くこと10分。


普段、電車通学であまり歩くことがない私にとっては結構きつい。


休日もどこか出かけるわけでもないし。



「はい、着いたよ」


ようやく立ち止まってくれた相楽くんの前にある建物に視線が向かう。



「………みずほ幼稚園?」


なぜか私たちは幼稚園に来ていた。


なんで私をここに連れてきたかったのか、相楽くんは幼稚園になんの用が?



疑問だらけで反応が遅れた。


「妹がいるんだけど、ちょっと遊び相手になってやってくれない?」


「あ、そういうことね。別にいいけど」


返事を聞くと、さっさっと門を開けて幼稚園に入って行ってしまう。



慌てて後を追い、相楽くんを見つけた。


< 15 / 89 >

この作品をシェア

pagetop