不器用同士
早く帰ってくれと思う、この茶番にはもう付き合いきれない。
「相楽くんが女の子連れてるなんて初めてじゃない?」
「なんで来たんだろう?もしかして彼女?」
私を見て、小声で話しているけど近くにいるから普通に聞こえる。
「お兄ちゃん!遅いよ!!」
可愛らしい高い声が耳に入り、振り向くと。
私の後ろから相楽くんに駆け寄って、抱っこをせがむ小さい女の子がいた。
…いや、あれは駆け寄るっていうか突進だったな。
「うっ…ちょっと瑠璃、毎回突進してくるのやめて」
困ったように微笑む相楽くんの表情は完全にお兄ちゃんだった。
あの相楽くんがお兄ちゃんだなんて、イメージと違う顔に驚いてしまう。