不器用同士
学校では薄ら笑いで女の子といる場面しか遭遇しなかったから。
毎日違う女の子を連れて、たまに一緒に消えていく。
最低なクズっていうイメージはあながち間違ってはないだろう。
前、女の先輩にビンタされてる相楽くんを見たことがあったから。
初めて見た修羅場だったから強く記憶に残っている。
「このお姉ちゃんだぁれ?」
大きい瞳を煌めかせて、私を見つめている相楽くんの妹。
相楽くんに似て、顔が整ってるな。
この年にしては顔立ちがはっきりしてて、すごく可愛い。
「あ、私は」
「わかった!彼女でしょ!!」
キラキラな目を受けて、顔が引き攣った。
「違っ」
「そうだよ」
違うと続くはずだった言葉は、妹を抱っこしている相楽くんに遮られた。
てか、なに肯定してんだ。
「え!そうだったの!この子が…ね」
幼稚園の先生が意味ありげに微笑んできた。