不器用同士



「でね、光莉ちゃんには瑠璃の母親的存在になってもらいたいんだ」


「は?母親?」



思ったより続いてしまった沈黙を破ったのは相楽くんだった。


聞き捨てならない単語が聞こえて、思わず聞き返す。



「そ、幼稚園に迎えに行って一緒に帰って夜ご飯なんかも作ってくれたらありがたいかも」


もちろん食費は出すからと付け加えて説明してきた。



「…そこはお姉ちゃんで良いんじゃないの」


「んー、瑠璃はお姉ちゃんよりお母さんの方が欲してるから」



どんだけお兄ちゃんやるつもりだと目の前のシスコンに言いたい。


「はぁ、流石にお母さんとは呼ばせないでよね」


妹想いのバカにぶっきらぼうに返事をする。



「あはは!それいいね」


なにがいいんだ。



相楽くんが初めて本当に笑ったような気がして、目を引いた。


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