不器用同士
笑った?
私って、今まで笑ってなかったっけ…。
「うん、今はちゃんと笑えてたよ」
それはいつもみたいにバカにしてなくて、優しい声色。
なんか、こんな顔向けられると…調子狂う。
「そっか」
なんて返せば良いのかわからず、一言だけ返すのが精一杯だった。
「じゃあ、お兄ちゃんいってらっしゃい!」
「…いってらっしゃい」
少し言うのは躊躇ったけど、相楽くんと目が合って離されなかったので口を開いた。
「うん、行ってきます」
瑠璃ちゃんと私を交互に見て、相楽くんは出て行った。