不器用同士
これは、瑠璃ちゃんと相楽くん?
小さい女の子と背の高い男の子が仲良く手を繋いでいた。
その周りには蝶々や花やキラキラ星まで描かれていて、明るい絵だった。
「瑠璃ちゃん、絵上手だね」
本心でそう言えば、パァッと顔を上げて嬉しそうに笑った。
「あのね、あのね!これは先生に家族っていうテーマで描いてきてって言われてね、この絵を描いたの!!」
テーマが家族か。
瑠璃ちゃんと相楽くんしかいない絵を見て、言葉が出なかった。
瑠璃ちゃんは親がどういう親かを理解しているのか、なんで家に帰ってこないのかなんてわかってるのかな。
「ほんとはね?お母さんとお父さんも描こうと思ったんだよ。だけど…どんな顔か忘れちゃって」
だんだん目線を下げていく瑠璃ちゃんを無意識に抱きしめていた。