不器用同士
忘れるぐらい帰ってきてないということ。
それぐらい放ったらかしにしてるという事実が痛いぐらい瑠璃ちゃんを通して見えてしまった。
「…うん、そうなんだ」
「でもいいの!お兄ちゃんがいるから」
その声が震えていることに気づいて、抱きしめる手に力がこもった。
さっき出会った私でもこれは無理をしてることぐらいすぐわかった。
今まで、お兄ちゃんがいるからって自分に言い聞かせてたんだろうな。
寂しくないように頑張ってくれてるお兄ちゃんに悪いから、本音を隠してたんだろう。
こんな小さい子が我慢しないといけないなんて、おかしい。
「ねぇ、瑠璃ちゃん。私にならなんでも話して良いよ」
こういうことを見越して相楽くんは私に瑠璃ちゃんを頼んだのかもしれない。
自分には心配かけると思って言ってくれない本音を他の誰かに言わせるために。
なんて、考えすぎかな。