不器用同士
このまま一緒に教室に入ると、あらぬ噂を立てられ今度こそ女子に目をつけられる。
相楽くんに熱狂的な女子はたくさんいるし。
女子を敵に回すのはめんどくさいからそれだけは避けたい。
今もいつどこで見られてるかわからないし、早いとこ離れなきゃ。
「わかった。俺、後で行くね」
そう思っていると案外あっさりと了承してくれた。
私が嫌がることが好きだから何回かは一緒に行こうよとか言ってくると思って身構えてたのに。
素直に頷いてくれた相楽くんに疑いの目を向ける。
…何か企んでる?
「え、何その目」
「相楽くんってこんなにあっさり言うこと聞いてくれるっけ、と思って」
「ふっ、なにそれ酷!光莉ちゃんが思ってる俺の評価って最低じゃん」
まぁ、第一印象は最低なクズ男だと思ったけど。
色々思っていたイメージと違うことに気がついてから、噂から入るのはやめようと思った。
私自身、噂で判断されるのが一番嫌いなくせにね。
笑い続ける相楽くんを無視して靴を履き替える。