不器用同士
まだ3限目は終わってなくて、廊下はシーンっと静まり返っている。
微かに教室から漏れる先生の声だけが響いていた。
靴を履き替えている相楽くんをチラッと見る。
「あ、お昼第3音楽室に来てね」
背を向けて歩き出した私を止めるように声をかけてきた。
第3音楽室?
今は使ってない空き教室だよね。
まさかあそこが相楽くんのサボり場所?
「遠慮しとく」
それなら関わらない方がいい。
「絶対、来てよ」
有無を言わさないような声が聞こえて、思わず振り返る。
この声は…昨日助けてくれたあとに聞いた声だ。
追い詰められて相楽くんに着いて行くしかなかったんだよね。