不器用同士


薄っすら笑みを向けて私をまっすぐ見つめている。


ここで目を逸らすのは相楽くんにビビっていると思われそうで絶対嫌だ。


負けじと私も相楽くんを見つめ返す。



「やっぱり光莉ちゃんって変わってて面白いね」


「相楽くんだけには言われたくない」



間髪入れずに言った私にまたクスクス笑う。



今日は本当にご機嫌だな。



朝からこのテンションで振り回されている。



付き合いきれない、もう疲れた。


教室に向かおうとすると、手を取られてまた足を止められてしまった。



「早く教室行きたいんだけど」


だから離してくれないかなと握られた右手に視線をやる。


「じゃあお昼来て」


先程と同じ言葉を繰り返される。

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