不器用同士
知りたいと願う
「じゃあ、今日はここまで」
前に立つ教師は教科書を閉じて、そそくさと教室から去って行った。
授業の途中から参加して、前に書き出された文字をただノートに写して時間をやり過ごし。
すぐ昼休憩の時間になっていた。
チャイムが鳴った途端にザワザワする教室内。
友達と机をくっつけてお弁当を食べる人や、食堂に向かって走り出す人。
様々な人を横目に、ため息をこぼしながら立ち上がる。
行きたくない。
ここまで相楽くんと関わることになると思ってなかった。
昨日助けてもらって相楽くんを選んだ時には。
あの時、もう少し必死でおじさんを振り切って逃げればよかったかな。
そうすれば相楽くんに助けてもらうことなく、関わることもなかっただろう。
…たられば言ってても解決しないけどね。