不器用同士


今のところジロジロ見られるだけで話しかけてくる人はいない。



「華宮さん、待って」


凛とした声で話しかけてきたのは女の先輩だった。


視線を下に向けると、上履きの色が2年生の青色。


この学校は1年生が赤色、2年生が青色で、3年生は黄色の上履きになっている。



「なんでしょうか」


明らかに敵意に満ちた目をしていて、絡まれると絶対良いことはないとわかったけど無視するわけにもいかなかった。


「あんた、昨日の帰りどこに行った?」


昨日?


なんのことかわからず首を傾げる。


一体、この先輩は何が聞きたいわけ?



明らかにイライラしてるのを押さえ込んで、睨んでいる。



「なんでそんなことを聞くんですか?」



「…噂通り生意気な女」


鋭い視線のまま、私に言い放つ。


なに、なんなの。


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