不器用同士


「昨日、翔琉と一緒にいたでしょ」



翔琉……あ、相楽くんのことか。


一瞬、誰のことかわからず考え込んでしまった。


昨日って私が相楽くんに助けてもらったところを誰か見られてたってこと?



それならまずい、噂が広まる前に早く否定しないと。



「昨日は真っ直ぐ家に帰りましたよ。なので相楽くんと出会ってないです」


「ほんとに会ってない訳?」



睨んでくる先輩と目を合わせて逸らさない。


逸らしたら最後、嘘がバレそうで怖くて。



ドクンドクンと心臓の音が早くて、いつもより大きくなっているのを感じる。



「はい」



「わかった、聞きたいことはこれだけだから」



先に目を逸らしたのは、嘘を信じてくれた先輩の方だった。


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