不器用同士
ニコニコと貼り付けた笑顔。
外面だけはいいから怒っているのか楽しんでいるのか、いまいち表情から感情を読み取れない。
「絢音、久しぶりだね」
「あ、うん。久しぶり!私ずっと翔琉に会いたかったんだからね!!」
先輩は絢音というらしい。
声がワントーン高くなって一層うるさい。
駆け寄って腕に抱きつく絢音さんを相楽くんは表情を一切変えずに見ている。
これ、私帰ってもいいかな。
茶番を見せつけられているようで居心地悪い。
興味ないので帰っていいですか?って聞いたら怒られるかな。
「うん、ありがとう。でも俺が無駄な詮索とか嫌いってこと知ってるよね」
笑顔なのに口調は冷たい。
そんな相楽くんに気づいたみたいで、絢音さんは顔を歪めて固まった。