不器用同士
とりあえず絢音さんの背中をさすってみる。
「やめて!」
すぐ振り払われたけど。
私、巻き込まれただけじゃない?
だんだんイライラしてきた。
だってこっちは何もしてないのに絡まれて相楽くんが女を切って、なんで私がその後のフォローまでしなきゃいけないのよ。
あれで相楽くんは助けてたつもりなのかもしれないけど、更にややこしくして去って行って。
もしかしてわざとか?あの性悪。
「じゃあ、これで失礼します」
もうここにいる必要も、絢音さんを慰める必要もない。
立ち上がって歩こうとして気づく。
ちょっと待って。
今ここで第3音楽室に入ったら相楽くんと待ち合わせていたことがバレるじゃん。
新たな問題を発見して、立ち止まる。